Impression Vol.02 AMG CLS55 from bond group

今回のimpressionは、株式会社ホソカワコーポレーション(bond group)様にご協力していただきました。

――最善か無か――

メルセデス・ベンツがかつて掲げたポリシーとして、クルマ好きの間ではあまりにも有名な言葉である。
早い時期から交通事故調査や衝突実験などを実施するなど、とりわけ安全面に関する「最善」を目指す際、このメーカーの発するエネルギーは凄まじい。そしてその結果として、現在では常識となっているエアバッグやABSを世界で初めて市販車に採用したにとどまらず、その後も現在に至るまで、ブレーキアシスト(BA)、エレクトリック・スタビリティ・プログラム(ESP)、センソトロニック・ブレーキ・コントロール(SBC)などなど、安全性を高めるための電子デバイスを自ら開発、ないしは世界に先駆けて世に送り出し続けている。
この部分をもって、メルセデスを「世界で最も理性的な自動車メーカー」と評する人は多いし、事実、その通りだろう。しかしこのメーカーには、かつて300SEL6.3、450SEL6.9などといった、しばしば「理性の裏に隠された狂気」と言っても過言ではないような、スーパーホットモデルを世に送り出していたという側面があるということを忘れてはいけない。

外観

尖ったところのない高級セダン

今回試乗した「AMG CLS55」は、現代のテクノロジーと同社が世に出した電子デバイスの恩恵で、メルセデスというメーカーの持つ二面性を、1台で、しかも誰もが安全に味わえるクルマに仕上がっていた。
AMG CLS55を前に、まずはゆっくりとボディの鑑賞から行ってみた。
黒くて優美なスタイル。ベンツというと「男っぽい」イメージが先行するが、このスタイルなら私のような女性がドライビングシートに座っても、きっと絵になるのではないだろうか。室内に乗り込むとさすがに高級車然とはしているが、「どーだ、まいったか」的な押し付けがましさは一切なく、全体的に抑えの効いた嫌味のないものとなっている。
この試乗車は「bond cars」によって、ナビとオーディオが取り付けられた2005年モデル。シートは9000キロを経た結果適度にヤレており、新車時よりむしろしっとりと体に馴染んでくれるため、非常に好印象だ。

インテリア

エンジンをスタートさせてみる。スーパーチャージャー付き5.5リットルV8は瞬時に目覚め、すぐさま平穏なアイドリングを開始。ノイズ、バイブレーションともによく抑えられており、できの良いオートエアコンのおかげもあって、キャビンは極めて平和な雰囲気に包まれた。
セレクターをDに入れ走り出しても、この印象は全く変わらない。アクセルを多少雑に扱ってみても反応は穏やかで、俗に言うNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)もよく抑えられている。とにかく癖がない。また今まで私が経験した数多くのベンツにありがちだった「重いものを力ずくで引っ張る」ような感覚は少なく、非常にナチュラルなフィーリングだ。
少しスピードを上げ、高速域の走行性チェックを開始。公道で試せるような速度では、この平穏は崩れる気配すら見せない。このままアクセルを踏み続け、仮に200km台後半のこのクルマの最高速度域までスピードを上げたとしても、おそらくさほど大きな変化は見せないだろう。
あまりにも安定しきった走りを見せるので、ちょっと意地悪をしてみた。
高い速度域から、少々強めのブレーキングを実施。するとどうだろう。CLS55は、「減速Gをあまり感じさせず、しかしスピードメーターの針だけは凄い速度で落ちていく」といった感じで、極めて平和にスピードを殺してくれたのだ!
“全く・・・なんて凄いシャーシ、そしてなんと見事な電子制御なんだろう”
堂々とした肢体とは裏腹に、大人しく扱う分には全てが黒子に徹したようなこのクルマには、とにかくどこにも“引っかかる”部分がない。これならきっとほとんど疲れ知らずといった感じで、どこまでも走り続けて行けそうだ。

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